orl.wakayama-med

小児専門医のための耳鼻科Q&A解答集

home

小児専門医のための耳鼻科Q&A解答集

2005/05/12@orl.wakayama-med
  1. 小児の先天性難聴を遺伝性難聴と胎生期難聴にわけて代表的な疾患について述べよ
  2. 新生児の聴覚スクリーニングについて代表的な検査法とその判定について解説せよ
  3. 小児の高度難聴に対する人工内耳埋め込み手術の適応について、年齢および難聴の程度について述べよ
  4. 心因性難聴(機能性難聴)について述べよ
  5. 急性中耳炎の症状と診断を述べよ
  6. 急性中耳炎のもっとも頻度の高い起炎菌について高いものから3つ挙げよ
  7. 急性中耳炎における起炎菌の検査法について述べよ
  8. 細菌検査においてグラム染色結果と推定される起炎菌を述べよ
  9. 急性中耳炎と滲出性中耳炎の鑑別を述べよ
  10. 急性中耳炎の合併症について、重要な疾患を3つ述べよ
  11. 急性中耳炎の重症度評価と抗生物質治療の考え方について述べよ
  12. 急性中耳炎の重症度と起炎菌の薬剤耐性化を考慮した治療選択を述べよ
  13. 急性中耳炎患児における薬剤耐性菌/難治化のリスクファクターについて述べよ
  14. 急性中耳炎の治療における鼓膜切開の意義について述べよ
  15. 滲出性中耳炎の治療について述べよ
  16. 滲出性中耳炎に対する中耳換気チューブ留置治療の意義について述べよ
  17. 鼻出血における代表的な出血部位と外来的な止血法について述べよ
  18. 急性副鼻腔炎の診断について述べよ
  19. 急性鼻副鼻腔炎の治療について述べよ
  20. 小児のアレルギー性鼻炎の診断において重要な症状及び検査について述べよ
  21. 伝染性単核球症においてペニシリン系抗生物質の使用が禁忌である理由を述べよ
  22. 小児の頸部腫瘤でもっとも頻度の高い疾患を2つ挙げよ
  23. 下咽頭梨状窩瘻の診断と治療について述べよ
  24. クループ症候群の診断と治療方針について述べよ
  25. ムンプスと反復性耳下腺炎の鑑別について述べよ

  1. 小児の先天性難聴を遺伝性難聴と胎生期難聴にわけて代表的な疾患について述べよ

    ANSWER

     先天性に難聴を発生する頻度は新生児の1000人に1−3人と言われている。これらの先天性難聴はさらに遺伝性難聴と胎生期難聴に分けられる。遺伝性難聴 1)症候群性難聴 難聴のほかに症候をともなうもので遺伝性難聴の約1/3を占めるとされるとされている。Alport症候群、Branchio-oto-renal症候群などにおいて原因遺伝子が特定されている。 2)非症候群性難聴 遺伝性難聴の多くは他の随伴症状を伴わず難聴のみが症状の非症候群性難聴である。 胎生期難聴 1)先天性風疹症候群 本症候群における症候のなかで難聴がもっとも頻度が高く、約80%に発生する。両側性感音難聴であり高度難聴のことが多い。 2)先天性サイトメガロウイルス感染 両側性の中等度から高度感音難聴が多く、感染が胎生期に経胎盤感染により子宮内で感染する場合に発生することがほとんどである。 3)薬物内服 母体投与のサリドマイド、バルビタール剤などで難聴が発生する。1960年代にサリドマイドが妊娠悪阻に使用され四肢奇形、心、腎などの奇形を生じたのは有名。外耳奇形、内耳奇形があり内耳の形成不全もみとめられる。

  2. 新生児の聴覚スクリーニングについて代表的な検査法とその判定について解説せよ

    ANSWER

     平成10年度から3年間の厚生科学研究「新生児の効果的な聴覚スクリーニング方法と療育体制に関する研究」では、自動ABRを用いて19,071人に対してスクリーニング検査を行い、中等度以上の両側性聴覚障害は28人(0.15%)、片側性聴覚障害は31人(0.16%)、併せて0.31%に聴覚障害が認められたと報告されている。 1)反射検査  Moro反射(突然大きな音や振動を感じたとき上肢を前に出して抱擁姿勢をとる運動)、眼瞼反射(急な音を聞いたときに瞬目がおこるもの)などの反応をみる。 2)聴性脳幹反応検査(ABR)  音刺激で脳幹部から10msec内に得られる波形を加算した波形から聴力域値を測定する。多くの場合刺激音はクリック音を用いるので高周波数の域値を反映する。初回のABRが異常であっても再検査で正常聴力と診断されることも多く、初回ABR時の聴覚系の可逆的障害の存在が考えられるので、異常が指摘されても何度か再検することが重要である。 ABRは他覚検査として従来一般的に行われていたが、時間がかかる上に防音室で行わなければならず、さらに結果の判定に経験が必要なため、スクリーニング検査としては実際的ではない。 3)全自動聴性脳幹反応検査(automatic ABR)  自然睡眠の時に行う。35dBの音を使用し「パス」か「リファー」(要再検)を判定する。自然睡眠で行えること、短時間で結果が判定できることなどスクリーニングとして有用である。 4)歪音耳音響放射(DOAE)、誘発耳音響放射(EOAE)  検査機器が自動ABRよりも安価であり、いずれも短時間で検査が行えること、侵襲が少なくプローブを耳に挿入するだけですむことなどスクリーニングに適する。しかし、OAEは内耳からの反射をみているので、聴神経や脳幹部の異常を検出できない。 聴覚スクリーニングの際の注意点 自動ABRやスクリーニング用OAEでも、検査で正常な反応が得られた場合には「パス」として表示される。パスと判定できなかった場合に「リファー」と表示され、再検査が必要であることを示す。 「リファー」が意味すること: @聴覚に異常あり Aノイズにより判定不能 B外耳道の耳垢により音刺激がうまく到達しない C中耳炎により中耳腔に分泌物が貯留している などであり、再検査が必要であることを示している。 「リファー」と判定されても、その後の精密検査により聴覚が正常と判断される方が多い。したがって、両親には「聴覚障害の疑いあり」と伝えるよりは、「聴覚が正常と判定できなかったので、精密検査が必要」と説明するのがよい。

  3. 小児の高度難聴に対する人工内耳埋め込み手術の適応について、年齢および難聴の程度について述べよ

    ANSWER

    脳の可塑性は年齢とともに低下し、聴覚言語の発達にはできるかぎり早期の聴覚刺激が必要となることは多くの研究者が報告している。 1. 日本耳鼻咽喉科学会人工内耳適応基準では、2歳以上で、純音聴力が100dB以上で、補聴器の装用効果の少ないものとしている。 2. 米国では、両側90dB以上の高度難聴患児に対して、生後12ヶ月から手術されている。 3. ドイツでは、補聴器装用効果がないことを6ヶ月以上かけて判断することが適応条件となっており、生後12ヶ月未満の小児でも手術が可能となっている。 2004年4月現在で、世界における人工内耳装用者は約82,000人で、本邦では約3,200人である。このうち、コクレア社製(オーストラリア)人工内耳が最も多く55,000人、クラリオン社製(米国)が15,000人、メドエル社製(オーストリア)が約12,000人である。成人と小児の比は、世界では5:4とほぼ同数となってきており、近年、2歳以下の小児に対する手術例が増加しており、オーストラリア、ドイツ、中国などでは、2歳以下の小児例が全体の10%を超えている。一方、本邦における小児人工内耳はまだ少なく、2:1と成人の半数となっている。髄膜炎後の難聴の場合には、蝸牛の骨化が早期に進行するため、より髄膜炎発症後早期(3ヶ月以内)の手術が望ましい。

  4. 心因性難聴(機能性難聴)について述べよ

    ANSWER

     機能性難聴には大きく分けて心因性難聴と詐聴がある。 聴覚器官に異常が認められないにもかかわらず、聴力検査で難聴を示すものを心因性難聴と呼ぶ。このうち意識的に聴力をごまかす場合に「詐聴(さちょう)」とよぶ。小児の場合は、詐聴はまれであり相対的に心因性難聴が多い。年齢は6歳から16歳にわたるが、ピークは8歳の単峰性、あるいは8歳と12歳の二峰性といわれる。報告が始まったのは1970年代からで、小学生で0.05%、中学生で0.03%、女児に多いとされている。両側、中等度の感音難聴を呈するものが多い。聴力が不安定であること、断続音より持続音の閾値レベルが低いこと、ABRで正常反応が得られることが特徴である。日常生活において学校や家庭での会話に不自由なく、聴力検査結果に矛盾する良好なことばの聞き取りを示す。  ヒステリー症状であれば視野狭窄を伴うことがあり、眼科での視野検査も有用である。学校、家庭などの環境におけるストレスなどの背景因子があることが多いが、当初は聞き出せないこともある。背景因子が判明すれば、その排除にあたる。初診後約半年以内に回復することが多いが、経過が年余にわたる場合もある。

  5. 急性中耳炎の症状と診断を述べよ

    ANSWER

     急性中耳炎の臨床的特徴 急性中耳炎に罹患している小児は通常、耳痛(乳幼児では耳をひっぱる)、乳幼児では不機嫌、耳漏、そして発熱といった徴候、症状の急性発症の経過を示す。急性中耳炎は発熱を来す乳幼児疾患としてはもっとも頻度の高い疾患の一つであり、38℃以上の発熱が3日以上続いている患児において、0歳児で約70%、1歳児で約40%の患児が急性中耳炎に罹患していたと報告されている。発熱を有する2歳以下の乳幼児では、急性中耳炎を念頭に置いて診察に当たる必要がある。  重症化するに従い耳痛も悪化するが、進行して鼓膜穿孔を起こし中耳貯留液が排出されると軽快する。耳漏は中耳貯留液が増加し中耳圧腔圧が上昇し、鼓膜組織の壊死により穿孔を起こすことによって発生する。急性中耳炎にて病院を受診する小児において、耳漏を主訴とする小児は10−15%とあまり多くない。難聴は中耳貯留液の存在や中耳粘膜や鼓膜の腫脹などにより伝音難聴を呈する。  耳痛や発熱などの臨床症状は3−5日以内に90%以上が正常化し、受診時には発熱や耳痛がほとんど消失していることも多い。しかし、鼓膜所見が改善しないことが多いため、急性中耳炎の治癒判定には鼓膜所見の観察が必須である。  急性中耳炎の診断には鼓膜の観察が必須である。鼓膜の発赤・腫脹・光錘の減弱が見られる。耳漏を来たしている状態では鼓膜の穿孔と耳漏の漏出を見る。中耳炎を反復している乳幼児では、鼓膜の発赤が認められずに、鼓膜の白濁、黄変などの鼓膜所見を呈することが多いので注意が必要である。また、鼓膜所見と臨床症状をスコアー化し、軽症・中等症・重症に分類することにより疾患としての重症度を客観的に評価できる。検査としては聴力検査では伝音難聴を来たすことが多く、ティンパノメトリーではB型を示すことが多い。

  6. 急性中耳炎のもっとも頻度の高い起炎菌について高いものから3つ挙げよ

    ANSWER

    肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスが三大起炎菌であり、それぞれ、中耳炎起炎菌の40−50%、30−40%、10−20%を占めており、前2菌で中耳炎起炎菌の約80%を占めている。これらの起炎菌はいずれも薬剤耐性菌が急増しており、薬剤選択の際に注意が必要である。

  7. 急性中耳炎における起炎菌の検査法について述べよ

    ANSWER

    @耳漏が認められない場合 外耳道をイソジン消毒し、鼓膜麻酔後鼓膜切開を行い流出してくる中耳分泌物を耳鼻咽喉科用シードスワブ2号の綿棒を用いて擦過し、すぐに付属する培地にしっかり挿入して検査室に提出する。 鼓膜切開が不可能の場合には、鼻腔より綿棒を突き当たるまで挿入し、そこで軽く回転して上咽頭部の分泌物を擦過する。 A耳漏がある場合 外耳の分泌物を清掃し、出来る限り鼓膜付近の分泌物を上記綿棒で擦過して検査に出す。外耳道に流出してくる分泌物を擦過すると外耳道の常在菌(黄色ブドウ球菌など)のコンタミが非常に多くなり、起炎菌の判定を誤ることがあるので注意が必要である。

  8. 細菌検査においてグラム染色結果と推定される起炎菌を述べよ

    ANSWER

    グラム染色はChristian Gramによって1884年に開発された細菌染色法である.現在でも最も広く使われている優れた染色方法である.クリスタル紫とルゴール液によって、まず細菌は紫色に染まられ、その後アルコールにより脱色する。アルコールにより脱色されず濃紫色に染まっているのがグラム陽性菌で、脱色されサフラニン液で淡紅色に染まるものがグラム陰性菌である。 上気道感染症の検出菌のグラム染色では以下のように判定される。 グラム陽性球菌:肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、A群溶連菌 グラム陰性球菌:モラキセラ・カタラーリス グラム陰性桿菌:インフルエンザ菌 グラム染色法は簡便で基本的な細菌検査法であり、起炎菌および抗菌薬の選択に極めて有用な情報を提供するものである。感染症において大いに活用すべき検査である。

  9. 急性中耳炎と滲出性中耳炎の鑑別を述べよ

    ANSWER

     急性中耳炎は中耳の急性の炎症により起こされる疾患であるのに対し、滲出性中耳炎は急性の炎症は無く中耳に滲出液が貯留した病態を指す。  滲出性中耳炎は急性中耳炎に続発することが多く、急性中耳炎に対する不適切な治療の結果、粘膜病変が残り耳管粘膜の炎症、浮腫により中耳の換気が行われないために、滲出液の貯留をはじめ様々な変化を引き起こしてくる。  急性中耳炎と滲出性中耳炎の鑑別の一つは耳痛の有無である。前述のように急性中耳炎は急性の炎症であるので耳痛は必発であるが、滲出性中耳炎では通常無い。鼓膜所見も滲出性中耳炎では発赤は認めないか、あってもごく軽度である。鼓膜の色は中耳貯留液に左右され、滲出性中耳炎では膠色や黄色がかっていることが多い。

  10. 急性中耳炎の合併症について、重要な疾患を3つ述べよ

    ANSWER

    @急性乳突洞炎・・・中耳の炎症が進んで乳突洞、含気蜂巣に波及し引き起こされる。症状としては耳周囲とくに耳後部の腫脹が著しい。そのため耳介は前下方に押し出されてくる。疼痛も激しく、鼓膜所見では鼓膜の発赤、耳漏をみる。顔面神経麻痺が出現することもある。治療はまず菌検査により感受性のあることを確認した抗生剤の投与およびステロイド剤を中心に行う。保存的な治療に対する反応が不良な場合(3日以内)には、ためらわずに切開排膿手術に移行する。手術は乳突洞削開術を行い、貯留した膿を排出する。 A急性錐体尖炎・・・側頭骨内の錐体尖蜂巣に炎症が波及することにより生じる。症状としては発熱・耳漏・めまい・嘔吐・眼周囲の疼痛・羞明・流涙・牙関緊急・外転神経麻痺(通常患側)がある。つまり、錐体尖にある迷路、三叉神経、外転神経などが侵されるためにこれらの症状が出現する。三叉神経痛+外転神経麻痺+中耳炎を示す疾患をGradenigo症候群と呼ぶ。治療は乳様突起削開術を行い、さらに錐体尖の開放を行うこともある。 B硬膜外膿瘍・・・中耳炎により骨壁の崩壊が中あるいは後頭蓋腔に及んで直接あるいは骨血管などにそって起炎菌が伝播して起こる。症状は頭痛(特に側頭、後頭部の打撃痛)、全身状態の低下がある。場合により以下の局所症状が出ることもある。 Griesinger症候群→S状静脈周囲炎が乳突導出静脈に波及すると乳様突起後部の皮膚が浮腫状に晴れる。 Gradenigo症候群→前述 Vernet症候群→頚静脈窩付近の膿瘍により迷走・舌咽・副神経の障害が起こる。 Horner症候群→頚動脈を覆う硬膜の延長の硬膜外炎により交感神経叢が障害される。 治療は乳突洞削開術を行い、周囲の健康な硬膜が露出されるまで骨壁を除去し、膿瘍を開放する。 この他に、化膿性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜静脈洞炎などがある。

  11. 急性中耳炎の重症度評価と抗生物質治療の考え方について述べよ

    ANSWER

    重症度評価のポイント  一般にウイルス性中耳炎は軽症であり、抗菌薬を必要としないself-limiting diseaseと考えられる。一方、肺炎球菌による急性中耳炎はもっとも強い症状を呈する。したがって、急性中耳炎の臨床像および鼓膜所見から、軽症、中等症以上に分類し、抗菌薬の選択をすべきである。重症度の評価項目としては、簡易評価法あるいはスコアリングによる評価法を用いる。簡易評価法としては、発熱が38℃以上、鼓膜の発赤・膨隆が中等度以上を中等症以上とし、それ以下を軽症とする。スコアリング評価法については当教室のホームページを参照して頂きたい(http://orl.wakayama-med.ac.jp)。 抗生物質治療の考え方  肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスが三大起炎菌であり(前2菌で中耳炎起炎菌の約80%を占めている)、いずれも薬剤耐性菌が急増している。臨床像および鼓膜所見の重症度に基づいて治療を選択することが重要であり、ウイルス感染症が疑われる軽症例には不要な抗菌薬治療を避けるべきある。すなわち、軽症な場合には3日間抗菌薬を使用せずに経過観察し、改善する場合にはウイルス性、改善しない場合には細菌性と判断するのが妥当である。第一選択薬はAMPCの増量あるいはβラクタマーゼ阻害薬との合剤(AMPC/CVA またはSBTPC)を用いる。治療後3日後、7日後に治療効果を判定し、無効の場合には他の薬剤に変更し、いたずらに同一の抗菌薬を長期投与しない。

  12. 急性中耳炎の重症度と起炎菌の薬剤耐性化を考慮した治療選択を述べよ

    ANSWER

    中耳炎の重症度(Q11)と薬剤耐性化のリスクファクター(Q13)を組み合わせて下記のような治療選択が望ましい。 重症度・薬剤耐性菌のリスク・ファクターの有無 初診時 3日後無効例 7-10日後無効例*3 14-28日無効、再発例 軽症・なし 抗菌薬なし サワシリン40mg/kg 1. オーグメンチン40mg/kg2. メイアクト又はフロモックス9mg/kg3. 鼓膜切開 1. 鼓膜切開2. オーグメンチン60mg/kg3. メイアクト又はフロモックス18mg/kg 軽症・あり サワシリン40mg/kg 1.オーグメンチン40mg/kg2.サワシリン60mg/kg3. 鼓膜切開 1. 鼓膜切開2. オーグメンチン60mg/kg3.メイアクト又はフロモックス18mg/kg 1. 鼓膜切開2. ロセフィン(静注) 50mg/kg/日, 1日1回 中等症以上・なし 中等症以上・あり 1.オーグメンチン40mg/kg2.サワシリン60mg/kg3.鼓膜切開 1. 鼓膜切開2. オーグメンチン60mg/kg3.メイアクト又はフロモックス18mg/kg 1. 鼓膜切開2. ロセフィン(静注) 50mg/kg/日、1日1回 1.カルベニン(静注)50mg/kg/日 分32.鼓膜チューブ留置術

  13. 急性中耳炎患児における薬剤耐性菌/難治化のリスクファクターについて述べよ

    ANSWER

    日常臨床においてはできる限り細菌検査を行い、起炎菌および薬剤感受性の情報を得ることが重要であるが、 乳幼児では困難な場合が多い。このような場合には薬剤耐性菌のリスクファクターが有用である。すなわち、 下の条件のいずれかが当てはまる症例では、薬剤耐性菌の検出されるリスクが高く、難治化・反復化の可能性が高い。 小児におけるリスクファクターとしては、@低年齢(3歳未満)、A集団保育児、B急性中耳炎の反復の既往、C1ヶ月以内の抗菌薬前治療、D3日間の治療により改善しないなどがリスクファクターとなる。

  14. 急性中耳炎の治療における鼓膜切開の意義について述べよ

    ANSWER

    38度以上の発熱や、強い疼痛、不機嫌、夜間不眠を訴える臨床症状重症例や、2歳以下、鼓膜所見重症、耐性肺炎球菌もしくは複数菌検出例などの急性中耳炎重症化リスクファクターのある症例、初期抗菌剤治療に対する反応不良例などに、早期に鼓膜切開を行う必要がある。その意義としては第一に中耳腔の膿汁を排膿することで中耳腔に感染している起炎菌の菌量を物理的に減少させることである。これにより、抗菌薬の投与期間の短縮、投与量の減少を図ることができる。 さらに、鼓膜切開部よりの中耳貯留液の採取が可能となり、細菌検査により起炎菌の同定、薬剤感受性検査を行うことができ、以後の治療において、今日の薬剤耐性菌の増加に対応した適切な抗菌薬選択が可能となる。また、こうした治療上のメリットのみならず、術後早期から耳痛、発熱などの症状の大幅な改善も得られる事が多い。

  15. 滲出性中耳炎の治療について述べよ

    ANSWER

     滲出性中耳炎の確立された薬物療法はないが、その多くが急性中耳炎に引き続いて生じることより、抗菌薬治療の短期有用性が認められる。また副鼻腔炎の合併率が高いことより、鼻処置、抗菌薬ネブライザー治療、粘液溶解剤内服なども保存的治療としてあげられる。  保存的治療により改善が見られない症例については、鼓膜切開、貯留液の吸引除去を行い、聴力の改善を図る。鼓膜切開施行にても滲出性中耳炎を繰り返す症例については鼓膜換気チューブの留置術を行う。さらにアデノイドの耳管機能に与える影響と、細菌感染部位としての働きを考慮し、アデノイド肥大による鼻閉や慢性咽頭扁桃炎を認める症例ではアデノイド切除術を鼓膜切開術に併せて施行する。

  16. 滲出性中耳炎に対する中耳換気チューブ留置治療の意義について述べよ

    ANSWER

     中耳換気チューブ留置治療の適応は保存的治療や鼓膜切開術によっても反復する場合や、鼓膜緊張部の癒着、弛緩部の高度な陥凹などの異常鼓膜所見の認められる場合である。その意義としては、中耳貯留液の排出と中耳腔への換気が挙げられる。 まず、中耳貯留液を排出することで聴力レベルはチューブ留置期間の間は平均で6〜12db改善するとされる。 また炎症性メディエーターを含む貯留液を除去することで鼓膜の萎縮変性や石灰沈着、癒着性中耳炎などの滲出性中耳炎後遺症を防止する。また中耳腔への換気により中耳は陰圧状態から解放され中耳粘膜の炎症が改善され粘膜は正常な状態へと改善する。さらに長期の換気チューブ挿入により乳突蜂巣の良好な発育を促進し、滲出性中耳炎の難治化を防止する。

  17. 鼻出血における代表的な出血部位と外来的な止血法について述べよ

    ANSWER

     特発性鼻出血では約80%に鼻中隔前方のキーゼルバッハ部位の炎症所見がみとめられる。外来では、局所止血が第一である。出血部位の確認後、5000倍ボスミンを噴霧したガーゼで局所圧迫止血する。時に止血材料(サージセルなど)を局所に当てたり、鼻入口部に瀰慢性の糜爛があれば、軟膏を塗布することもある。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎など慢性炎症を伴う場合にはその治療を併せて行う。小児の場合はほぼこの処置で止血できるが、原疾患あるいは治療により凝固能が低下しており、止血困難な場合には軟膏ガーゼで数日間圧迫止血する。キーゼルバッハ部位に怒脹した血管が観察され、その部位からの頻回の出血に関しては、患児の協力が得られれば、電気凝固による焼灼止血を行うこともある。

  18. 急性副鼻腔炎の診断について述べよ

    ANSWER

     小児の急性鼻副鼻腔炎の診断は臨床症状に基づいて行う。 30日以内の期間で持続する副鼻腔の炎症で、10日〜14日以上鼻汁や後鼻漏(性状は問わず)や咳が持続するか、あるいは膿性鼻汁が3〜4日間持続し発熱も伴えば上記と診断できる。起炎菌は鼻咽腔よりの菌検査にて同定する。ウイルス感染の小児との区別は、ウイルス感染であれば発熱は発症初期に出現し、頭痛や筋肉痛を伴うが発症後48時間以内に軽快し、膿性鼻汁は3日以上持続することはない。しかし発熱の後、膿性鼻汁が3〜4日間出現すれば急性鼻副鼻腔炎と診断できる。アレルギー性鼻炎の合併も多い。なお画像検査は6歳以下の小児の鼻副鼻腔炎の診断には有用ではない。6歳以下の小児では副鼻腔の未発達、啼泣などにより容易に副鼻腔陰性を生ずるため、単純X線ではっきりと副鼻腔の炎症性粘膜肥厚が確認できないためである。このような場合には低線量CTによる副鼻腔検査が最近行われている。

  19. 急性鼻副鼻腔炎の治療について述べよ

    ANSWER

    小児、成人ともに起炎菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カタラーリスが三大起炎菌であり、前2菌で細菌性鼻副鼻腔炎の起炎菌の約70−80%を占めている。いずれも薬剤耐性菌が急増している。臨床像および鼻腔所見の重症度に基づいて治療を選択することが重要であり、ウイルス感染症が疑われる軽症例には不要な抗菌薬治療を避けるべきある。  第一選択薬は小児ではペニシリン系抗菌薬である。治療後3日後、7日後に治療効果を判定し、無効の場合には他の薬剤に変更し、いたずらに同一の抗菌薬を長期投与しない。粘液溶解剤の併用、鼻腔抗菌薬ネブライザー治療が有効であり、さらに鼻漏の吸引、洗浄などの鼻処置なども細菌数を減少させる上で有効である。アレルギー性鼻炎を合併すれば抗アレルギー剤も併用する。また鼻汁を吸引除去する鼻処置は頻回に行う。鼻処置により炎症で狭くなった鼻腔や上顎洞の排泄孔を拡大し、鼻汁排泄が促進できるためである。鼻処置後、ネブライザー治療を行う。なお、家庭でも市販の吸引器で、鼻汁吸引を行うと効果が高い。 薬剤耐性菌検出/難治化のリスクファクターと重症度判定  一般にウイルス性副鼻腔炎は軽症であり、抗菌薬を必要としないself-limiting diseaseと考えられる。7日以上改善しない副鼻腔炎は細菌性と考えて抗菌薬治療を行う。副鼻腔炎も中耳炎と同様にリスクファクターと重症度に基づいた抗菌薬選択を行うべきである。簡易評価法としては、小児では、湿性咳嗽、膿性鼻漏・後鼻漏が高度な場合、成人では頬部痛・前頭部痛、膿性鼻漏・後鼻漏が高度な場合には、中等症以上とし、軽度な場合を軽症とする。スコアリング評価法については当教室のホームページを参照して頂きたい(http://orl.wakayama-med.ac.jp)。

  20. 小児のアレルギー性鼻炎の診断において重要な症状及び検査について述べよ

    ANSWER

    くしゃみ、水性鼻漏、鼻閉の三主徴が症状の中心となるが、寝具中のハウスダスト、ダニによって、朝の起きがけにくしゃみ、鼻漏の症状を呈することが多い。また夜間、布団の中で鼻閉が強くあらわれて、不眠を訴えることも多い。また、小児では鼻や目の 痒感が強く、鼻を手で擦ったり、鼻をピクピク動かし、顔をしかめたりする動作がしばしばみられる。また局所の循環障害のために目の下にくまができやすく、鼻出血が生じやすい。 アレルギー性鼻炎患者の鼻内所見としては、蒼白な粘膜腫脹と水様性鼻汁を特徴とするが、小児の場合には発赤した粘膜所見を呈する場合も多く、また副鼻腔炎の合併により粘性や粘膿性鼻漏を呈する場合も多い。一般的に、@RASTあるいは皮膚テスト、A鼻汁好酸球、B鼻粘膜誘発試験を行って、二つ以上陽性の場合をアレルギー性鼻炎と診断する。しかし、小児では誘発試験ができないことが多く、その場合でも前二者は最低施行したほうがよい。

  21. 伝染性単核球症においてペニシリン系抗生物質の使用が禁忌である理由を述べよ

    ANSWER

     伝染性単核症では高率に皮疹が観察されるが,大きく2つの様式に大別できる.一つはEpstein-Barr(EB)ウイルス感染による発疹で第4〜6病日ぐらいにみられ,風疹様,麻疹様,狸紅熱様,多形紅斑様の多様な皮疹である.もう一つは,アンピシリン(ABPC)などをこの疾患に投与したときに高率に観察される皮疹で,薬剤投与後7〜10日目にみられるものである.  これらの皮疹は伝染性単核症治癒後同じ抗生物質の再投与では観察されないことが報告されており,EBウイルスのリンパ細胞感染による免疫系の一時的な異常によると推測される.また,ABPCに発症頻度が高い理由として,薬剤中の混入物の影響とする論文やポリマーの影響を示唆する論文もあるが,現在のところ不明である.1995年現在,これらの理由により伝染性単核症で添付文書に使用禁忌とされている抗生物質はペニシリン系としてABPC,AMPC,ASPC,BAPC,TAPC,LAPC,PIPC,SBTPC,CVA/AMPC,またABPCと他の薬剤との合剤であるBicillinV2B,CombipenixM,BroadcillinJ,Viccillin-SJ,セフェム系であるCFT,CDXなどが列挙される.一般に欧米と異なり日本におけるEBウイルス罹患年齢は低く,実際の臨床においてEBウイルス初感染で発症する伝染性単核症と遭遇する機会はあまり多いとはいえない.しかし,この疾患が時として肝機能異常のため入院加療を要すること,前述のごとくペニシリン系薬剤により高率に皮疹を発症すること等により,急性の扁桃炎症状を診断する際には常に念頭におかねばならない疾患であると考えられる.

  22. 小児の頸部腫瘤でもっとも頻度の高い疾患を2つ挙げよ

    ANSWER

    小児の頸部腫瘤は比較的まれな疾患である。患児が幼少児であればそのほとんどが炎症性のリンパ節腫脹か先天性の嚢胞性疾患である。 頻度の高いものとしては 1) 正中頸嚢胞;胎生期の甲状舌骨管の違残により嚢胞を形成する為、舌盲孔から甲状腺に至る前頸部のあらゆる部位に発生する。舌骨と甲状軟骨の間にあることが、最も多い。診断では、典型例では生下時より頸部正中舌骨下に存在し表面平滑、境界明瞭であり、超音波とMRIで同部に嚢胞があることにより診断は容易である。治療は外科的完全摘出が原則。 2) 嚢胞状リンパ管腫;リンパ管腫は胎生期のリンパ管の先天的形成異常と 考えられている。ほとんどは2歳までに発症しその発生部位は側頸部、特に外側頸三角に多い。柔らかい波動を有する腫瘤であり、超音波とMRIで 隔壁を認めれば診断は困難ではない。治療は手術療法とピシバニールを用いた硬化療法が有効である。

  23. 下咽頭梨状窩瘻の診断と治療について述べよ

    ANSWER

    診断の重要項目 1)左側の反復する急性化膿性甲状腺炎、頸部膿瘍の既往があれば、本症を疑う。初発年齢は9歳以下のことが多い。甲状腺への炎症が波及する場合、甲状腺シンチグラムによる患側の取り込みの低下や上極の欠損が見られる。血中甲状腺ホルモン値は軽度上昇がみられるが、ほとんど正常範囲である。 2)下咽頭食道造影によって、梨状陥凹から下方に走る細い瘻管が証明されれば確定診断となる。しかし、一回の造影では描出されないことがあるので、疑いがある場合は浮腫のとれた炎症消退時に繰り返し行うことが必要である。 * 鑑別診断;正中頸嚢胞、先天性側頸瘻、亜急性甲状腺炎 治療 1) 急性炎症期の治療は十分な抗生剤を含む消炎治療と膿瘍化した場合の切開、排膿が必要である。 2) 根治療法としては手術による瘻管の摘出、閉鎖が基本である。一般的には、炎症消退後約二ヶ月は待機する方がよい。

  24. クループ症候群の診断と治療方針について述べよ

    ANSWER

    喉頭の炎症によって同部に急激な狭窄,閉塞が生じ,犬吠様咳嗽(barking cough, seal's bark),嗄声,吸気性喘鳴,および種々の程度の呼吸困難を伴ってくる病態をクループ症候群と総称する.咳嗽は夜出現し朝には改善することが多い。感染が病因の大部分を占める。 ウイルス性の急性喉頭気管炎は発症頻度が高く,3か月−3歳の乳幼児にみられ,声門下部の炎症性腫脹により気道の閉塞が起こる.原因としてパラインフルエンザウイルスが多い. 細菌性の急性喉頭蓋炎は3−7歳の幼児に好発し,喉頭蓋を含む声門上部の炎症性腫脹により,急速に重篤化し放置すれば窒息死する可能性が高い.原因としてインフルエンザ菌が多い. 非感染のものとしてアレルギーや心理的要因が関与する場合もある. 治療 加湿,水分補給,酸素吸入が基本である. 軽症例では十分な加湿を行うだけで改善する.呼吸困難が強い場合は酸素吸入を行う.パルスオキシメータで酸素飽和度をモニターし,95%以上を保つように酸素流量を調節する.くり返す咳嗽,発熱,多呼吸,呼吸困難に伴う水分喪失,経口摂取不良による脱水を生じやすいため輸液は行ったほうがよい.0.1%ボスミン液 0.1−0.5mLを生理食塩水1−5mLで希釈し吸入させる。喉頭部の浮腫軽減に効果があり,30分以上の間隔をあけて反復可能である.閉塞症状が強い場合にはデキサメサゾン(デカドロン注 1回0.1−0.2mg/kg 1日2−3回 静注)の投与を行う. 気道閉塞症状が急速に進行するときは気管挿管の適応となる.急性喉頭蓋炎では挿管も困難なことがあり,その場合には気管切開が必要である.インフルエンザ菌のペニシリン耐性化が進んでいるため,細菌感染が疑われる場合には,咽頭粘液,血液培養後に第3世代セフェム系抗生物質(セフォタックス注 1日100mg/kg 分3−4、ロセフィン注 1日50mg/kg 分2)の投与を行う.重症化する例では吸気性喘鳴が強く,不穏状態や陥没呼吸が認められ,次第にチアノーゼや意識低下が出現するようになる.このような場合は突然呼吸停止をきたす危険性があり,気管内挿管の準備やICU収容を心がける.

  25. ムンプスと反復性耳下腺炎の鑑別について述べよ

    ANSWER

    小児が急性に耳下腺腫脹・疼痛をきたす疾患では、ムンプスと反復性耳下腺炎の頻度が高く鑑別を要す。 ムンプス(流行性耳下腺炎)は、RNAウイルスであるムンプスウイルスによって起こる耳下腺や顎下腺などの唾液腺の腫脹を特徴とする感染症である.潜伏期間は14−24日で好発年齢は3−6歳である。耳下腺の腫脹は一側,両側,時期がずれて両側の場合がある。圧痛を伴うが,反復性耳下腺炎のように発赤を伴うことはない。耳下腺以外にも顎下腺や舌下腺が腫れる場合もある。びまん性で境界不鮮明な耳下腺腫脹をきたし、超音波エコーでもびまん性の低エコー領域として描出される。約1−2週間の経過で耳下腺の腫脹は軽快する。唾液中のウイルスは耳下腺腫脹の6日前から腫脹後9日まで見いだされ、感染性は耳下腺腫脹開始前後がピークである。地域や集団内での流行状況も診断の参考となる。 反復性耳下腺炎は、初発年齢は10歳以下、多くは4歳以下である。腫脹は1側性のことが多いが、両側性や交代性のこともある。耳下腺腫脹は比較的硬く、境界明瞭である。腫脹は数日間持続し、数週間から数ヶ月の割合で反復する。疼痛は軽度で発熱を伴わない場合が多い。一般に思春期までに自然軽快する。耳下腺造影により末梢導管の拡張所見(apple tree appearance)が特徴的だが、幼少児には侵襲が強く施行は難しい。超音波エコーにて耳下腺内に多数の直径数ミリの低エコー領域が描出され、腫脹のない反対側にも同様の所見が認められる。血液検査にてCRP弱陽性とアミラーゼ値上昇を見る。

    鑑別

    耳下腺腫脹の反復病歴聴取により比較的容易であるが、初回の腫脹でムンプスの予防接種歴がない、周囲にもムンプスの流行が見られない場合難しい。超音波エコーによる末梢導管拡張が両側性に認められれば反復性耳下腺炎を疑う。ムンプス抗体価の有無は確定診断となるが早期診断には役立たない場合が多い。耳鼻科への紹介の適応は、反復性耳下腺炎で耳下腺腫脹が1週間以上続く場合、ムンプス・反復性耳下腺炎以外の病変、唾石やシェーグレン症候群を疑う場合となる。