喉頭癌について

 喉頭(こうとう)は首の中央、男性でいえばのどぼとけに当たる所で、その働きは声を出すことにあります。正確に言うと、声を出す部分は声帯と呼ばれ気管の最上部に位置していますが、肺に吸い込んだ息をはき出す際、左右1対の声帯を震わせることにより発声することができます。


声のかすれが要注意!

 喉頭癌は、この声帯およびその周辺に発生します。喉頭癌は耳鼻咽喉科領域の癌の中では治りやすい部類に入ります。と言うのは癌のできる場所に関係があり、声帯そのものにできる場合が最も多いからです。声帯そのものにできると、すぐ声がかすれてきます。つまり早期発見がしやすいのです。風邪の時にのどが痛いし声もかすれてしまったという場合は、風邪の炎症が声帯に及んだためでまず癌ということはありません。風邪が治れば自然と声も戻ってきます。ただし、風邪もひいていないし痛みもないが声がかすれたままで治らないという場合は要注意です。喉頭癌の声がれの特徴は、1日中変化しない、たいてい痛みを伴わない、咳した時に痰に血が混じることがあるなどです。外来診察で喉頭癌が見つかる時は、声がかすれるだけであと何の症状もないことが多いようです。それに対して、声帯の周辺にできた癌は、初期には何の症状もないため早期発見が難しくなります。声帯自身や声帝を動かす筋肉に癌が進行してからでないと声がれが起こらないからです。声がかすれる以前に、のどが気持ち悪いとかつまった感じがする、痰に血が混じるあるいは首のリンバ腺が腫れてきたなどの症状で見つかることもあるのです。


喫煙(たばこ)との関連

 喉頭癌の病因としては、喫煙、飲酒、音声酷使(声の使いすぎ)などとの関連が指摘されていますが、特に喫煙が喉頭癌の発生と密接に関連していることが報告されています。

 わが国における成人喫煙率の推移を見てみますと、男性における喫煙率は漸減傾向にあるようですが、女性ではほとんど変わらず最近では微増傾向にあります。喉頭癌は以前は圧倒的に男性が多かった(男:女は約10:1)のですが、最近では徐々に女性の喉頭癌も増えてきています。これは女性における喫煙率の増加を反映していると考えられます。

 耳鼻咽喉科領域の癌のうち喫煙との関係が強いと考えられている癌は、喉頭癌、口腔癌(のどの癌)、下咽頭癌(食道の入口の癌)などが報告されています。喫煙と発癌との関連を示す数字(これを専門的には発癌寄与度と言います)で比べてみると、喫煙との関連がもっとも高いのは喉頭癌であり、男性で95.8%の高値を示しています。これは禁煙することにより喉頭癌の発生をゼロに近づけることが出来ることを示しています。その他の癌における発癌寄与度は、肺癌71.5%、咽頭癌65%、口腔癌58.1%、食道癌47.8%です。一般的には肺ガンとたばことの関係がよく叫ばれていますが、喉頭癌がたばこともっとも関連が深いことを知って下さい。

 喫煙者の癌部位別の死亡率をみると、喉頭癌が極めて高く、肺癌の3ー4倍となっています。さらに喉頭癌は喫煙本数とも深く関係しており、1日の喫煙本数に喫煙年数を掛けたブリンクマン指数は1000以上(1日20-30本、30-40年以上)の場合が多いと言われています。ヘビースモーカーにとってはとてもショッキングな数字ですね。家族のために今日からでもたばこの本数を減らす、できれば禁煙を心がけて下さい。


治療

●喉頭癌の治療は、癌の進行具合により変わってきます。初期の癌で他に転移していなければ、放射線(コバルトなど)療法だけでほぽ治ります。進行していて首のリンパ腺に転移しているものや残念ながら放射線療法で癌が残っているものは手術療法になります。喉頭はのどの奥で回りの組織から割合独立して存在しているので、手術すれば癌の取り残しが少ないという利点があります。ただし、手術することで一生自分の声を失ってしまいます。しかし、術後の訓練で笛を使って声を出したり、げっぶで声に似せたりする(食道発声と言います)ことにより他の人との意志の疎通は可能です。食道発声を会得した人とお話しすると、ほとんど普通の声と分からないくらいです。発声教室では患者さんのグループでこの食道発声の練習をしています。喉頭癌は、多くは声帯自身にできるため早期発見が可能です。声がれが続くときは、すぐ耳鼻咽喉科を受診してください。

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